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耐震

耐震~田中工務店が考える強い家、倒れない家

大地震の際の被害を減らすのに効果的なコト

阪神淡路大震災

1995年1月17日夜明け前の午前5時46分、阪神・淡路大震災が発生しました。震源地は淡路島北部。マグニチュード7.3、最大震度7という大きな揺れと甚大な被害をもたらしました。
木造住宅が倒壊しただけではなく、高速道路や高層ビルが倒壊するという想像もしないようなことが起こりました。

この大地震によって、6434名の尊い命が奪われました。
「救急車の到着が遅かった」

「病院の対応が悪かった」

「自衛隊への支援要請が遅かった」
というマスコミ報道も聞かれました。

2007年当時の石原慎太郎知事が東京都知事に3選された直後のインタビューで「神戸の地震のときなんかは、首長の判断が遅かったから、2000人余計になくなった」と発言し、物議を醸しました。

当時の兵庫県知事だった貝原氏は「石原さんの誤解。確かに危機管理面で反省があるが、要請が遅れたから死者が増えたわけではない」と反論しています。

意見が真っ二つに割れていますが、データがどういう状況だったかを示しています。

阪神・淡路大震災の犠牲者の86.6%が自宅で亡くなっていました。
出典:西村明儒他「死体検案より」救急医学VOL19,NO.12より(1995/10)

早朝での地震発生だったので、家にいる人が多いのは当然ですね。

また、死因の83.3%は建物倒壊や家具による圧死でした。
出典:兵庫県監察医「神戸市内における検死統計(平成7年)

死亡推定時刻は、午前6時までに93.6%、1月17日中には99.6%が亡くなったと推定されていいます。
出典:「阪神・淡路大震災神戸大学医学部記録誌」神戸大学医学部(1995/12)

人の命を守るはずの家が凶器となってしまったのです。
そして、亡くなった方は即死だったということです。

倒壊直後には、まだ生きていた方もいらっしゃったでしょう。しかし、建物や家具の下敷きになり、自力で脱出できず、多くの方が押しつぶされる苦しみと絶望の中亡くなったのでしょう。

決して、救助隊や消防の到着の遅れが原因ではないのです。倒壊した建物より助けることができたのは、近くのなんとか被害をまぬがれた住民だけでした。

こういうエビデンスは、大地震で被害を減らす一番効果的な方法は、いうまでもなく、現在想定されている大地震の揺れでも倒れない強い建物にするということを示しています。

強くて倒れない家にすることによって、ほとんどの命が助かります。

また、建物が倒壊していないと避難所に逃げたり、救助や消火活動に行くことができます。建物が倒壊すると、道をふさいでじししまえば自身の命だけではなく、逃げることさえできなくなり、被害を増やすことになってしまいます。
地震は防ぐことはできませんが、建物を耐震化することによって被害をなくすことはできます。

熊本地震では、震度7が2回発生するという今までなかったことが起こりました。
それまで熊本は地震が少ない県ということで、企業誘致をしているような土地柄でした。

それが、この大地震です。突然襲ってくる大地震に対して備えが必要です。

どうしたらよいかは、熊本地震でのデータが示しています。

大地震で被害を減らすには建物の耐震化が一番効果的

阪神・淡路大震災の教訓としては、大地震で被害を減らす一番効果的な方法は、現在想定されている大地震の揺れでも倒れない強い建物にする、ということでした。

復習ですが、死因の約80%が建物倒壊や家具による圧死で、地震発生後15分以内に約90%の方が命を落としました。

また、約90%の方が自宅で亡くなられました。

救急車の到着が遅いとか、医療機関の対応などということが原因ではありません。ほとんどの方が即死でした。

救助活動ができたのは、助かった近隣の住民の方だけだったのです。
もし、建物が丈夫だったら5000人以上の方の命が助かったと思うと心が痛みます。

地震で死亡する人をなくすには建物の耐震化するしかない!と断言できますが、どうしたらよいのでしょうか?
新築する場合、今住んでいる建物をどうするかということの2パターンありますが、今回は一般的な戸建て住宅を建てることについてお話したいと思います。

当たり前ですが理想的なのは、大地震が来てもそのまま住める家ですね。命を守るのはもちろんですが、その後住めないのも悲劇です。

再建ができる人はまだいい。高齢の方等、再建が困難な人には過酷な将来が待ち受けています。劣悪な仮設住宅ですら、永久に住めるわけではありません。いつか出て行かないといけなくなります。

建築基準法は命を守る最低限の仕様を決めたものですから、建築基準法を守ったからといって、大切な家=財産を守ることはできません。

南海トラフ地震の震度予想は、香川県の中で震度7に達するという予測になっています。つまり、震度7の大地震が発生しても命が助かり、そのまま住み続けられる建物が理想ということになります。

熊本地震

2016年4月に発生し甚大な被害をもたらした熊本地震が、どうしたらよいかを教えてくれます。とても大きな代償が伴いましたが・・・

熊本地震の大きな特徴は大地震=震度7だったことではありません。前代未聞、震度7が2回起こったのです。

熊本城も大きな被害を受けました

4月14日21時26分、熊本県熊本地方においてマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7を観測しました。

また、16日1時25分にはマグニチュード7.3の地震が発生し、益城町及び西原村で震度7を、熊本県を中心にその他九州地方の各県でも強い揺れを観測しました。

これが本震です。

震度7の地震が同一地域で連続して発生するのは震度7が設定された1949年以降初めてのことだそうです。

これらの地震だけでなく、その後も熊本県から大分県にかけて地震活動が活発な状態となり、7月14日までに、震度7を2回、震度6強を2回、震度6弱を3回、震度5強を4回、震度5弱を8回観測するなど、震度1以上を観測した地震は合計1888回発生しました。地震発生から2ヶ月程度経過した6月中旬にも、震度5弱の地震が発生(6月12日)するなど地震活動は継続ました。

建築基準法で決められているのは、「数百年に一度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の地震に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の地震力に対して損傷しない」というのが基準です。

性能表示制度の説明

ということは、震度7が2回きたら、なんとか倒壊・崩壊をまぬがれ損傷した建物が倒壊するのは当たり前です。

熊本地震では、その2回の震度7に損傷もせず、そのまま住み続けられている建物がありました。

住宅業界を震撼させた熊本地震の衝撃

震度7×2回でもそのまま住み続けられる家とは

2016年4月14日21時26分、熊本県熊本地方においてマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7を観測しました。
また、16日1時25分にはマグニチュード7.3の地震が発生し、益城町及び西原村で震度7を、熊本県を中心にその他九州地方の各県でも強い揺れを観測しました。

これが本震でした。
熊本地震は前代未聞の震度7が連続して起こるという未曾有の大地震となりました。

建築基準法で決められているのは、命を守る最低基準ですから健全な状態でも、一度倒壊をまぬがれるのがやっと。2度目の震度7では倒壊するのは当たり前です。

熊本地震で2回の震度7でもそのまま住み続けることができた家がありました。
結論からいうと、それは「耐震等級3」の強さをもった建物でした。

出典:耐震等級3のススメ_くまもと型住宅生産者連合会

熊本地震では、とりわけ大きな被害が生じた益城町中心部では※悉皆調査が行われました。
※悉皆(しっかい)調査:調査対象物件をもれなく調査する方法

もちろん、古い建物の被害が大きかったのですが、2000年以降に建てられた築浅の建物の倒壊や全壊があったのは、住宅業界を震撼させました。中には耐震等級2の建物の被害もありました。
やはり、昭和56年=1981年以前に建てられた、いわゆる旧耐震基準の建物の被害がとても大きかったとのは当然のことです。

香川県では耐震診断や耐震補強に補助金が出るのは昭和56年以前に建てられた建物というのが示すとおり、旧耐震の建物は劣化していなくても安全とはいえません。

昭和56年の建築基準法の改正で、耐震基準の強化が行われました。具体的には必要な壁量と部材の壁倍率の見直しです。より、耐力壁がたくさんいるようになり、一般的な筋交の壁倍率(強さの計算値)が減らされ、安全側に計算されるようになりました。

1995年に阪神・淡路大震災が発生し、同様の地震が来ても命を守れるように2000年に建築基準法が改正され、耐震基準の強化が行われました。
柱と土台や梁との接合方法や壁の配置バランスを検討しないといけなくなりました。

それによって、現在の建築基準法で定められる「数百年に一度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の地震に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の地震力に対して損傷しない」という、震度7の大地震が来ても一度は命を守れる=倒壊・崩壊しないという、とりあえず安全な建物になったのです。

阪神淡路大震災以降に建てられた建物は?

残念ながら、熊本地震では2000年以降に建てられた建物で倒壊が7棟、全壊が12棟ありました。全壊だけなら2000年基準が想定している範囲ですが、倒壊があったということは、明らかに想定外であり、強い衝撃を受ける事実でした。

それに対し、耐震等級3の建物は無被害が14棟、軽微な損傷が2棟でした。その2棟は何の問題もなく安全にその家に住める状態でした。

専門家の間でも耐震等級3が必要か?、オーバースペックなのでは?という意見もありましたが、熊本地震の結果によって、耐震等級3が必要ということが確信に変わりました。

命と財産と将来の生活を守る家=耐震等級3なのです。

M’s構造設計佐藤さんパワーポイントより