パッシブハウスジャパン九州エリアリーダーであり九州の良心ことSiZE代表坂本さんのブログを続きまして転載致します。
ださいましてありがとうございます。
本当に建てられる方にいい住まいを提供したいという想いが伝わってくる文章です。
前回も含めてお家を建てられる方は必見と存じます。
パッシブハウス生みの親
ファイスト博士
私の事務所は開業30年を越えます。つぶれようも無かったので長いだけですが(笑)、高断熱・高気密と言われる住まいを造り始めてからも20年ほどにはなりますが、その間、様々な時が流れました。
かつてシックハウスが巷の話題になると「お前たちがガス室を作るからだ」とスカスカの換気のできていない家を作っている連中に犯罪者のごとく言われ(笑)ました。また、新建材は極悪で天然素材が良いとなれば、盲目的に「天然素材」を使ったカビる腐る家が正義のごとく作られもしました。
そこそこ省エネが正当化され「高断熱・高気密」という言葉が肯定されると、今度もどこかで歪曲され、外張りが最高と発泡ボードの薄い断熱で4等級ギリギリの家が省エネ住宅の最先端とばかりに言われたりもしました。
何時しか原価を抑える為の基準をギリギリクリアする性能ダウンの競争。一貫して言える事は、そういう流れを先導してきたのは、決して良い住まいを構築しようとする技術をもった方達ではなく、様子見から一転、突然時流に乗ろうと商売気丸出しの人たちだったという事です。
パッシブハウスジャパン九州エリアリーダー
株式会社SiZE 坂本 俊久さん
私は「高断熱・高気密」という言葉も、「自然素材」という言葉もあえて使わなくなり、「高性能な住まい」という言葉を使いながら、淡々と住まいを創り続けてきました。
今、その部類の人たちも含めて、世の中は今度は「パッシブ」という言葉に様々な思惑を込めて多用し始めています。これまでの流れを見て、私は今度こそ、流行のあだ花のごとく一過性でこの言葉を風化させたくないと切に思うのです。この稿を読んでくださっている一般の方に覚えてほしい。
「パッシブデザイン」は、「パッシブハウス」を構築する為の方法論であり、できたその住まいの性能を語る言葉では決してありません。
一方「パッシブハウス」には明確な性能定義があります。その基準を満たした住まいだけに与えられる呼称であり、おいそれと今の日本の住宅産業界で量産ができるほどのものでははないのです。変なハードルをあげるものではありませんが、まがいものを掴まされない為にも、覚えていただきたいです。
巷で「パッシブハウス」という呼称を見られたら、こう問われたら良いと思います。「このパッシブハウスのIDナンバーは何ですか?」と。ちなみに福岡パッシブハウスのIDは2235番です。ドイツパッシブハウス研究所のHPから、データベースに飛ばれたら世界中のパッシブハウスが閲覧できます。(http://www.passivhausprojekte.de/index.php?lang=en#d_2235)
少し口幅ったい表現もありましたが、2014年1月のインスブルックではじめてお会いしたファイスト博士と、4月の来日、そして2015年4月のライプチッヒでの国際カンファレンスで三度ご面会する厚遇を与えていただいた者として、昨今の風潮にどうしても一言お話ししておきたかったのです。(おわり)